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短編小説:PNY

PNYはプニーと読むのかと思っていたら違っていたので、プ二ーの方がかわいいのにと思って書いたものです。

※これはフィクションであり、登場する人物や商標は実在のものとは関係ありません。

かつて、「グラフィックスカード」と呼ばれる剛健な装置たちは、暗黒の黒に染まり、剛性を競い合う時代にあった。
重く、巨大で、冷却のための金属をこれでもかと纏い、力こそが正義だった。
その中でも最も巨大なもの――RTX7090――は、全長37cmという「巨獣」となり、他社はこぞってその巨躯を誇った。
人々はその長さと重厚さを讃え、より高性能、より高発熱を追い求めた。

しかし、PNYの片隅、窓もない開発室で、ひとりの無名の若き技師が静かに考えていた。
「本当にこれでいいのだろうか……?」

その技師は、ある夜、夢を見た。
白い光に包まれた世界、そこで耳元に優しい声がささやいた。

──「プニー……プニー……」

目覚めた彼は、自らの会社『PNY』の名が、"プニー"と呼ばれる運命にあると確信する。
かわいい、それでいて芯が強い、小さく、速く、美しい。
そんな存在にこそ未来があると。

彼は上司に進言した。
「会社の名前、プニーと読みませんか? そして、白く、小さなグラボを作りましょう!」

当然、彼は激怒された。
「ふざけているのか!グラボとは剛性!黒!長さ!力だ!お前のような甘ったれた発想など、市場では売れん!」

しかし、若き技師は諦めなかった。
こっそりと、己の時間と僅かな予算を削り、長さ33cm、色は真珠のような白、そして冷却性に優れた独自設計のRTX7090モデルを開発してしまったのだ。

その頃、世界では新しい潮流が静かに始まっていた。
パソコンケースは、黒の無骨な箱から、白く透明感のある、美しいデザインへと変わりつつあった。
ユーザーたちはただスペックだけでなく、「美しい内装」と「静かな冷却」を求めるようになっていたのだ。

そして――悲劇が起きた。
長さ37cmのグラボを無理に白いケースに押し込んだ人々のマシンが、次々と熱暴走し、割れ、発火した。

人々は初めて気づいた。

「4cmの違いが……これほどの悲劇を生むとは……!」

そのとき市場に、ただひとつ、救いの灯火があった。
プニーの名を持つ、白くてかわいいグラボ。
美しく、正確に、静かに冷える、たった33cmのRTX7090。

口コミは静かに、しかし爆発的に広まった。
「プニーしかない」「プニーの白しかケースに入らない」「プニーだけが私を救ってくれた」

やがてPNY社の社長も動かざるをえなかった。
社名の正式な読み方はプニーと定められた。
かつて馬鹿にされた若き技師は、社内で英雄となり、彼の開発チームは「白き騎士団」と呼ばれた。

そして、時代はAI全盛期。
AGI訓練のために、大量のVRAMと冷却性能が必要とされた時代。
プニーは、必要なすべてを備えていた。

プニーの白きグラボは、世界中のホワイトケースを美しく、静かに支え、熱くなりすぎた心をも冷ました。

やがて、「プニーは世界を救った」という伝説が静かに語られるようになったという。

まあ、その割には、MSIとかASUSのを使っているんですが💦。最近ですとZOTACのものが在庫が豊富ですね。


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